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【SS】清水昴のとある1日【SPECIALS】

  • ぽてこ
  • 2022年8月11日
  • 読了時間: 5分

※とっても不謹慎な二次創作です

※これは二次創作です


―――――――・・・

人は聴覚・視覚・触覚・味覚・嗅覚の順番でその感覚の記憶を失うのだという。


君の髪からふわりと香るシャンプーの匂いが好きだった。


君と食べる2日目のカレーが好きだった。


君の絹のような肌と、じんわりと暖かいその体温が好きだった。


君のコロコロ変わる、俺にだけ見せる表情が好きだった。


君の透き通った歌声が、俺の名前を呼ぶその声が、好きだった。


この■□は俺の□■かもしれない。

それでも…………。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「…ばる。すーばーる!もう、朝だよ」


「最近寝起き悪いみたいだけど、大丈夫?ちゃんと寝れてる?」


「ご飯もあまり食べてないみたいだし…。ちゃんと栄養取らないと、厳しい芸能界で生きていけないぞ~?」


「ふふ、それは冗談だけどね。昴は誰よりも輝いてる最高のアイドルだもん。」


「でも、ちゃんと食べないと駄目だよ?お前にはちゃんと元気でいて欲しいんだ…。」


「あれ?どこか行くの?」


「そっか!今日久しぶりのオフだもんね。」


「折角だから僕もついて行っちゃおうかな~。はい、決定!えへへ…。」


「それじゃあ、行こっか。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ねぇ、昴…。この方向って僕の実家向かおうとしてない?」


「昴のことは凄く大切だし、大好きなんだけど、その、両親への挨拶はちょっと早いんじゃないかな…」


「今じゃないと駄目?うぅ…、昴がそう言うなら…。」


「…あ、もう次の駅だね。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「なんか、この道を昴と歩いてるの少し不思議な感じ。」


「見飽きるほど何度も通った道なのに、凄く新鮮な気持ちなんだ。初めて通る道みたいに。」


「お前と一緒に見る景色は全て特別に感じるんだ。」


「…僕ね、こうして昴の隣にいられて凄く幸せなんだよ?」


「ふふ。2回は言ってあげないんだから。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「2人が揃ってるの、凄く久しぶり。うちのお父さんハリウッドで活動してるから、日本にいること自体が珍しいんだよね。」


「紹介するね、この人が清水昴。世界で1番誰よりも輝いてる僕の特別、僕のSPECIAL。」


「僕がアイドルになることを決めたのは、この人の存在があったからなんだ。昴とだったら、最高のアイドルになれるって。」


「僕、この人の1番のファンなんだ。」


「…あっ、ちょっと喋りすぎちゃったかな?でも、折角顔合わせするなら昴の魅力を余すことなく伝えたくて…。」


「僕が思いつく言葉じゃ足りないくらい、お前が最高すぎるから。」


「…お父さん、お母さん。昴のこと、よろしくね。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「そろそろ17時かぁ。ちょっとお腹空いてきたんじゃない?たまには夜ご飯食べに行こうよ。」


「あれっ、ここって前僕が話した昔よく行ってたカレー屋さん…?」


「お母さんに内緒でお父さんがたまに連れて行ってくれてたんだよね。ここのインドカレーが大好きで。」


「覚えててくれたの?…なんかちょっと嬉しいな。」


「昴にも食べてもらいたかったんだ、ここのカレー。きっと気にいると思うよ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「どう?お味の程は」


「いいな~、美味しそう。」


「…なんか昴が作ったカレーが食べたくなってきちゃったな。」


「世界で1番美味しいカレー、作ってくれるんでしょ?僕ずっと楽しみにしてるんだから。」


「僕、お前のそういう頑張り屋さんなところ、好きだよ。努力してる昴は特にかっこいいなって思う。」


「…大丈夫、昴なら、絶対に乗り越えられるよ。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「夜ご飯も食べ終わったし、そろそろお家に帰ろっか。」


「ん?まだ寄りたいところあるの?」


「この方向は…公園か。」


「僕も疲れたり悩んだりした時はよくあそこに行くんだ。あの場所は、僕にとって特別な場所だから。」


「あ…、丁度今誰もいないみたいだね。ね、あそこでちょっと座って喋ろうよ。」


「ふふ、こうやって地面に座るとあの日の事思い出すね。」


「あの時ね、昴と出会った頃の事思い出してたんだ。昴は覚えてる?あの時の事。」


「それでね、昴のこと考えてるから幻聴が聞こえてきたのかなぁ?って思ったら本当に昴がそこにいて。」


「僕ね、あの時昴に凄く救われたんだ。ううん、あの時だけじゃない。昴はいつでも僕の事を救いあげてくれる。」


「お前は最高のアイドルで、希望。いつでも僕を明るく照らしてくれる光なんだ。」





「…ごめんね、昴。大事な事全部忘れて、酷い事もたくさん言って。」


「約束、守れなくて」




「死んじゃって、ごめんね。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

雫がこの世を去ってから1週間が経った。


あの日雫は世界を救い英雄になった。


その身を、犠牲にして。


俺は未だに雫の死を受け入れられてなかった。


「じゃーん、びっくりした?もう、昴ったら僕がいなくてそんなに寂したかった?」


とか言って、ひょっこり部屋から出てきてくれるんじゃないかって、気がつけばそんな事ばかり考えてる。


そのせいだろうか、最近雫の声が聞こえる気がする。


当然姿はどこにも見えない。多分、いや絶対に、この声は俺が生み出した幻聴なのだろう。


でも、それで構わない。


人は聴覚・視覚・触覚・味覚・嗅覚の順番でその感覚の記憶を失うのだという。


君の髪からふわりと香るシャンプーの匂いが好きだった。


君と食べる2日目のカレーが好きだった。


君の絹のような肌と、じんわりと暖かいその体温が好きだった。


君のコロコロ変わる、俺にだけ見せる表情が好きだった。


君の透き通った歌声が、俺の名前を呼ぶその声が、好きだった。


この声は俺の幻聴かもしれない。

それでも…………。


この声が聞こえる限り、その声を覚えてる限り、俺の中で雫は生き続ける。


この世からいなくなってしまっても、確かに俺の中に君は存在してる。


心配させちゃってごめん、雫。


俺はまだ1人じゃない。


君の存在が、俺をまだアイドルにしてくれる。


俺たちはお互いが特別で、SPECIALなんだ。


2人が一緒なら、輝ける。


そうだろ?雫。




息を吸い込み、音を紡ぐ。


そこに君はいないかもしれないけど、


それでも、もしかしたら…。



公園に歌声が響き渡る。

一緒に歌っていたあの歌、

世界でただ1人、愛してる人に捧げる歌が。



その響きはやがて幾重もの重なりを生む。

辺り一面がキラキラと輝きを帯びていく。

忘れもしない、あの感覚。

これは、



「っ…雫………。」




「本当にかっこいいなぁ、昴は」

「大好きだよ、…ううん。愛してるよ、昴。」




「…俺も、俺も雫のことが大好きだ!世界で1番、誰よりも、これまでも、この先もずっと愛してる!!」



目に涙を浮かべながら、へにゃりと照れくさそうに笑う雫が見えた気がした。




サァと風が吹く。

街灯の明かりに照らされて、影が1つ伸びていた。




★補足

最終決戦の際に自爆した世界線のお話です。

お話の解釈はお任せ致します。

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