【SS】♡きって、ころして、つめこんで♡【あいめろ】
- ぽてこ
- 2022年8月11日
- 読了時間: 3分
※『切って、殺して、詰め込んで』のネタバレをやや含みます
―――――・・・
くらやみのなか、ただひたすらにおとがひびいてた
ギコギコ、ぐちゃぐちゃ、
ぶしっ、ギゴ、ぐちゃっ、ゴリ
ギッ、ぐちゃ………
「…っあ!!!?」
積み重なった栄養補助食品のゴミ、そこら中に散乱したスト缶、煌々と輝くブルーライト。
目が覚めると、そこは自室だった。
「ぁれ…?今の、夢…?」
確かああなる前、ご飯も食べずに徹夜してて、流石に限界だと思ってキッチンに向かおうとしてた筈。気絶、したのか…?
妙な胸騒ぎがして、おぼつかない手つきでスマホを取り出す。
どうやら皆考える事は同じだったようで、LIMEを起動すれば何十件もの通知が届いていた。
「よかった…、皆無事だったんだ…。」
どうやらあの出来事は夢では無かったようで、皆口々にあの時の出来事について話している。
響平と由美子の欠損もどうやら元に戻ったようだ。
「『全生還おめ💗
しゃちょー、今度自費で遊園地連れて行ってね』っと。」
スマホと共にベッドに沈みこみ、安堵のため息をもらす。
誰も欠けなくて良かった、これからもあのメンバーで、Reviveでバンド活動出来るんだ。
ぴっぴと会えなくなっちゃったのは残念だけど。
そう思いながらふとスマホの液晶に目をやる。
真っ暗な画面の向こうにいたのは僕だった。
僕……………。
…あれ?僕って最後何してたんだっけ?
ぴっぴがよくわかんない事言って、それで体切ってみようってなって、
それで、気づいたら凄く苦しくなって、世界がぐわんぐわんして、それで…
「お前は何もしてねぇんだよ」
思考を遮るように聞き覚えのある声が聞こえてくる。
画面の向こうの僕が、酷く見覚えのある歪な刃を向けてくる。
「ぴーぴー喚くばっかりで、お前は何も出来ない役立たずだった。お前は人に手を汚させておいて、最後までそれを見る事すら出来なかった」
刃先が酷く冷たく感じる
「ねぇ僕、覚えてる?」
「あそこで何をして、何を言って、その結果どうなったのか」
ギコ
「僕はね、全部覚えてるよ。」
「大口叩くだけで何も解決できてなかったことも、皆がパニックになった時も泣いてるだけで何も出来なかったことも、ぴっぴの手当すらろくに出来なかったことも」
「全部、どれだけ無能だったか、全部ね。」
ギコギコ
「そんなお前がなんで「皆」の中に入れると思ってんの?」
「誰もお前のことなんて必要としてない、ただ邪魔なだけなんだよ。」
ギコギコぐちゃ
「実際、そうだっただろ?」
「腹を貫かれた時、皆どうだった?お前のこと、心配してたか?」
「してなかったよなぁ?言葉はかけてくれてたかもしれないけど、あんなのただの条件反射で、お前の事を心から心配したやつなんかいなかったよなぁ??」
「手当してくれた?由美子は優しいからね…。
あんなのただの同情に決まってるだろ、思い上がるな。」
ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ
「-なぁ。」
「本当のお前は空っぽなんだ。中身が詰まってない箱を誰が欲しがる?」
「お前の感情も存在も信仰も全てが虚像なんだ。」
「本当は自分の曲だって」
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ふわふわする。
さっきまでのいたみがうそみたい。なんだかたのしいな。
こんなひは、きょくをつくりたくなる。
ぎこぎこぐちゃぐちゃ
もうなにも、こわくない。
これが、ぼくがここにいるいみ。
そのためだったら、なんだってするよ。
ぼくのおとを、ぼくのそんざいを、
きって、ころして、つめこんで、
みんながみとめる、さいこうのめろでぃーをつくるんだ。
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